経済学・経済政策

【経済学・経済政策】GDP?GNP?NNP?NI?をわかりやすく解説

GDP,GNI,eye catch

どうも、にのみです。

1次試験の経済ではGDP・GNP・NNPという経済用語が頻出します。私自身、わかったつもりで、試験で出題されるといつも感覚的に回答していたのをよく覚えています。

この記事を読めば、これまであやふやだった各用語の意味や求め方が分かります。

GDP・GNP・NNP・NIとは?

まず全体像を見た方が理解が進むので、結論から紹介します。これらの指標は以下の図で集約されます。

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ではそれぞれの指標を詳しくみていきましょう!

GDP (Gross Domestic Product: 国内総生産)

GDPはGross Domestic Productの頭文字をとったもので、日本語でいうと”国内”総生産です。

今度はその国の国内で生産された商品やサービスの付加価値の全てという意味です。

国内”なので、海外で生産活動した分の付加価値はGDPに入りません。

一方で、海外の人が日本国内で生産活動した分はGDPに入ります。

例えば、海外で売れている日本企業の任天堂の米国の売り上げはGDPに入らず、アメリカ企業のAppleの日本の売り上げはGDPに入ります。純粋に国内で生産されたものがGDPにあたります。

GDPの更に詳しい解説は、以下の記事を参照ください。

【経済学・経済政策】3つのGDPの公式の覚え方今回は中小企業診断士試験の際には勿論、普段の生活でも必須の知識であるGDPについて3つの側面から解説し、覚え方についてもわかりやすく説明しています。...

GDPは”国内”で生み出された商品やサービスの付加価値の合計値

GNP (Gross National Product: 国民総生産)

GNPGross National Productの頭文字をとったもので、日本語でいうと”国民”総生産です。

ちなみにGNPはGNI (Gross National Income)とも言われます。

その国の国民が生産した商品やサービスの付加価値の全てという意味です。

”国民”なので、GDPと異なり海外で生産活動をした日本人分の生産活動をの付加価値もGNPに入ります。

逆に、海外の人が日本国内で生産活動をしてもGNPには入りません。

GNP (国民総生産)の式

GNP (国民総生産) = GDP + 海外からの要素所得受取り – 海外への要素所得支払い

海外からの要素所得受け取り:海外で自国民が生み出した付加価値
海外からの要素所得支払い:国内で外国人が生み出した付加価値

つまり、海外で売れている日本企業の任天堂の米国の売り上げはGNPに入り、アメリカ企業のAppleの日本の売り上げはGNPに入りません。純粋に国民によって生産されたものがGNPにあたります。

GNPは”国民”が生み出した商品やサービスの付加価値の合計値

NNP (Net National Product: 国民純生産)

NNPNet National Productの頭文字をとったもので、日本語でいうと国民”“生産です。

これはGNPから減価償却費を引いたものになります。

NNP (国民純生産)の式

NNP (国民純生産) = GNP – 減価償却費(固定資産減耗)

もう少し簡単に言うと、生産活動をした時に設備を使いますよね?設備は使っているうちに消耗していくので、その消耗分を引いて、純粋に国民が生産した分を計算しようというのがNNPです。

減価償却費についてよくわからない方は以下を参考にしてください。

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NNP (国民純生産) は国民が”純粋に”生み出した付加価値の合計値

NI (National Income: 国民所得)

NINational Incomeの頭文字をとったもので、日本語でいうと”国民”所得です。

これはNNPから間接税を引き、補助金を足したものになります。

NNP (国民純生産)の式

NI (国民所得) = NNP (国民純生産) – 間接税 + 補助金

企業や個人が稼いだお金は全てが所得になるわけではなく、実際には間接税(法人税や消費税)が引かれることで純粋な所得になります。

また、企業のモノづくり補助金のような補助金は、売上扱いにはなりませんが、それぞれの所得には反映されていますので、所得として加算します。

NI (国民所得)は”国民”の純粋な”所得”の合計値

DI (Domestic Income: 国内所得)

ついでにDIの解説もします。DIDomestic Incomeの頭文字をとったもので、日本語でいうと”国内”所得です。

DIの求め方は、GDPからGNIを求める時と似た計算をします。

NNP (国民純生産)の式

DI (国内所得) = NI (国民所得) – 海外からの要素所得受取り + 海外への要素所得支払い

”国民”の所得から”国内”の所得を求めるので、国民の所得から国民が海外で得た所得は引き、自国から外国人へ支払われた所得は加えます。

GDP・GNPの所得バージョンがNI・DIということです。

DI (国内所得)は”国内”の純粋な”所得”の合計値

各指標のまとめ

①GDP:”国内”で生み出された付加価値の合計

②GNP:”国民”が生み出した付加価値の合計
GNP (国民総生産) = GDP + 海外からの要素所得受取り – 海外への要素所得支払い

③NNP:国民が”純粋”に生み出した付加価値の合計
NNP (国民純生産) = GNP – 減価償却費(固定資産減耗)

④NI:”国民”の純粋な”所得”の合計値
NI (国民所得) = NNP (国民純生産) – 間接税 + 補助金

⑤DI:”国内”の純粋な”所得”の合計値
DI (国内所得) = NI (国民所得) – 海外からの要素所得受取り + 海外への要素所得支払い

覚え方は?

ここまで合計5つの指標を解説してきました。ただなかなか覚えずらいですよね。

そこで次のステップで覚えましょう。

①英単語の意味を覚える

②GNIを基準にストーリーを組み立てよう

③GDP, DIを算出する

①英単語の意味を覚える

まずは、略語中のDNの意味を覚えてしまいましょう!

Nは「National:国民の、Dは「Domestic:国内のという意味です。

National Holidayを国民の休日と覚えている方もいるのではないでしょうか。

Domesticの印象はドメスティックバイオレンス(家庭”内”暴力)といういい印象を持たれない単語ですが、内側というイメージを持ちやすいかと思います。

②GNIを基準にストーリーを組み立てよう

そして、まずは国民に関する②GNI・③NNP・④NIから導出を覚えてしまいましょう。

GNI→NNP→NIストーリー

                  <前提条件>
日本にはA社しかなく、国民は全てA社で働いていると仮定しましょう。この企業は海外にも参入しています。

A社は国内で100万円、海外では200万円の付加価値を生み出しました。国民は全てA社で働いているので、

GNI=100万円(国内)+200万円(海外)=300万円

A社は様々な設備を使って生産しており、それらの価値は1年間で30万円減少(減価償却費)しています。つまり、

NNP=300万円(GNI)-30万円(減価償却費)=270万円

A社はこの中から間接税(法人税等)を100万円払います。またA社は国から50万円の補助金も受け取っています。つまり、

NI=270万円(NNP)-100万円(間接税)+50万円(補助金)=220万円

こんな感じのストーリーで覚えると、抜け漏れなく覚えられるかと思います。

③GDP, DIを算出する

ここまでくれば次は「国内」を表す①GDP・⑤DIの算出です。

この算出はGDP⇔GNI、DI⇔NIに対応しており、前述のように「海外からの要素所得受取り」と「海外への要素所得支払い」足すか引くかだけです。

ここからはイメージです。国民の生産には「海外の企業」の生産活動が含まれていませんから、国内総生産にするには、海外企業の国内での生産も含めなければなりませんから、海外への要素所得の支払いを足します

海外への受け取りは自動的に逆になるので引きます

これで⑤つの指標について求めることができました。

まとめると、

まとめ

いかがだったでしょうか。

今回はあやふやな理解になりがちなGDPやGNI等についてまとめました。

実際の試験では文章で出題されるとが多いので、「海外への要素所得」という単語の意味も理解しておくとよいでしょう。

ではまた!