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【書評】サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい

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今回は三戸正和さん著書の「サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい」という図書の書評です。

この本はサラリーマンはもちろん、診断士の方には是非読んでほしい本です。

読んでみた感想は「サラリーマン×中小企業診断士」という組み合わせは会社を買うということに関して、シナジー効果が非常に大きいということです。

私の場合は、大学生の頃から経営に興味があり、リスク許容度も割と高いので、かじりつくように一瞬で読んでしまい、現在では早く買いたい衝動にさいなまれています。(笑)

一念奮起したい、診断士の新たな社会貢献方法を知りたい、新しいことに挑戦したい、という方必読です!

ちなみに本書には、診断士のことは一切記述されておらず、私が診断士を取得し、経験や様々な診断士界隈の方たちに聞いた話を参考に書評を加えています。

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中小企業の現状

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診断士の勉強をする中で、中小企業が日本の多くの雇用を生み出し、日本のGDPの半分以上が中小企業から生みされており、中小企業の重要さというのを学んだと思います。

一方で、毎年5万件以上の休廃業・解散・倒産しており、2025年までに127万社もの中小企業の後継者が決まっておらず、大廃業時代が来るといわれています。

更に、休廃業・解散する企業の半数以上は純利益が黒字で企業をたたんでおり、黒字体質なのに後継者等の都合でやむを得ずという企業も多いのです。
出典:東工商工リサーチ

ちなみにこれは新型コロナウィルスが流行する前のデータなので、今後は更に厳しい数字が並ぶと思います。

リスクとリターンについて

日本の中小企業がどれほど窮地に立たされているか分かったかと思いますが、簡単に現在の仕事を辞めてすぐに経営者になるという選択はリスク・リターンの観点からやりにくいと思います。

ではここでは、リスクとリターンについて、少し詳しく見てみましょう。

リスクについて

リスクについては「条件付きであり」と言えます。

条件付きというのを付けたのは、個人保証制度が大きくかかわってくるからです。

個人保証制度

本来は会社と経営者の財布は分けなければならないが、実情はそうはなっていない。そのような背景を鑑み、銀行等からの融資を、会社の借金=経営者の借金として保証をかけること。
従って、会社が倒産した際は、経営者がその借金を背負うことになる。

しかし、近年の中小企業の承継が進まない現状を鑑み、政府の方針としても個人保証は基本的に無しの方向で行きましょうということを言っています。

つまり、もしこの個人保証を付けずに会社を承継できたとすると、リスクは自己出資した金額のみとなります。この自己出資は自身で借入しない限りはリスク許容度によって調節可能なので、結論としては個人保証を外せればリスクはかなり小さいと言えます。

個人保証制度の風向きは変わっており、リスクはかなり小さいと言える

リターンについて

ではリターンはどうなのか。

リターンは本書で述べられているものも含めて、以下の3つ大きくあると思います。

①資産は青天井

②人生100年時代のリスクヘッジができる

③意思決定ができる

①資産は青天井

日本人の年収ランキングは見たことありますか?この中で従業員社長はいるでしょうか?

実は一人もおらず、全員創業者もしくは創業者の跡継ぎなのです。

一方で、彼らの役員報酬を見ると数億くらいです。何が起こっているのでしょう。

これは役員報酬とは別で、株を持っていることによるキャピタルゲインや株主配当をもらっているからです。

もし自身で会社を承継し、100%株主になり、上場でもさせようものなら一気に億単位の資産を形成できるのです。

もちろん上場はかなりハードルが高いですが、売り上げをしっかり上げることで、それ相応の対価として役員報酬を決め、会社の価値も上がり、株による資産上がるということが可能なのです。

つまり頑張り次第では、資産形成は青天井なのです。

②人生100年時代のリスクヘッジができる

本書では「何もしないというリスク」ということが述べられています。

今の時代は変化が非常に速い「VUCA」の時代と言われています。

またトヨタ自動車の豊田章男社長も終身雇用制度の崩壊を示唆し、今後更に自身で稼ぐ力が求められる時代になっていきます。

これまで副業が生活を豊かにするものという認識であったのが、新型コロナウィルス禍で複業をしないといけない環境に強制的に移ってきています。

大企業に入ったから将来安泰という時代はもう終わり、自身の力で稼ぐ力をつける必要性が出てきているのです。

そこで事業承継をして、経営者になるということが一つの選択肢としてあると思います。

またもし、承継後に事業がうまくいかなかった場合でも、再就職の際もしその失敗談を言えたら?失敗したとしても経営の根幹に関わったことをアピールできれば?採用する側は、是非取りたいとなるのは容易に想像できるのではないでしょうか?

短期的に見れば自己資金がなくなるリスクもありますが、長期で見れば大きなリターンが見込めると思います。

③意思決定ができる

企業勤めの方は、必ず上に意思決定者がいます。それは社長を含め、です。

なぜ社長を含めなのか。社長以下はトップを社長として、上司がいるわけですが、社長はその上に株主がいるのです。

つまり実は最終決定者は株主なのです。

では事業承継をしたらどうなるのかというと、基本的に本書では100%株式譲渡を進めており、それ通りに事業承継できれば社長=株主となるので、意思決定者は自分です。

会社を生かすも殺すも自分、つまり自分の決定が、会社の運命を大きく左右するのです。

これに関しては、会社の存続に関わる責任の重い仕事は嫌だという方もいるかと思いますが、個人的にはこれにめちゃくちゃ魅力を感じました。

私と同様、「やべぇ~、ワクワクしてきた。」という方は会社を買うことを検討しましょう(笑)

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なぜ中小企業診断士なのか

ではなぜそこで中小企業診断士が事業承継に適しているのか。

私が考える理由は以下の3点です。

①経営に関わる全般的な知識があるから

②幅広い人脈を持つから

③中小企業支援以上の貢献ができるから

①経営に関わる全般的な知識があるから

本書では特に資格は必要ないが、簿記があればよいと述べられています。

診断士試験では簿記2~3級程度の知識がつくと言われ、財務諸表を読むことができます。

その他にも、中小企業診断士は組織論や補助金関係、運営管理等、経営のことを幅広く網羅しています。

「中小企業診断士=経営ができる」と言った極端なことは言うつもりはありませんが、実務補修や実務従事を通して、短い時間ですが、実務的な業務もこなしています。

知識+経験を積んだという条件が揃っており、成功できる可能性としては確実に診断士を取ったことで上がっていると断言できます。

②幅広い人脈を持つから

事業承継で一番大事なことは、企業のソーシング(発掘)であると本書では述べられています。

現在、事業承継のためのプラットフォーム(トランビバトンズ etc…)がいくつかあり、ここからのソーシングができるようになりました。

しかし、ここに登録されているのは全体でみるとごく限られており、事業承継希望の案件の多くは、未だ税理士さんや銀行等内々で共有されている程度です。

サラーリーマンをしていると、ここにリーチできるでしょうか?できても取引先や知り合いの伝手くらいではないでしょうか。

では診断士ではどうでしょうか。

中小企業診断士は1社の顧問契約ではなく、平均7社の顧問契約を結んでいます。(出典:J-SMECA 中小企業診断協会

更に補助金の申請支援を受け付けているとすると、関わる企業数はかなり多くなります

そういった関りを持った方に、「実は事業承継を考えてます」と伝えると、いい仕事をしていれば数珠繋ぎでそういった話が広がり、案件にたどり着く可能性が高くなります。

また中小企業診断士は様々な業種を持つ人がいるので、承継の際や経営で不明点が出たときにアドバイスを求めやすい状況にあると言えます。

③中小企業支援以上の貢献ができるから

中小企業診断士というのは名前の通り、「企業診断士」です。

最終的な意思決定者は顧問企業であり、我々診断士はあくまで顧問企業のサポーターなのです。

また顧問契約を結んでいる会社は、

8100人(独立業務をしている中小企業診断士数)× 50%(顧問契約を結んでいる割合)× 7社(平均の顧問契約数)= 約2.85万社

ということが言え、多くの企業は顧問契約を結んでいないというのが現状です。

他には補助金申請という業務があり、金額でいうと大きくて1000万(モノづくり補助金一般型)くらいで、それくらい大きいものになると採択されずらく、貢献という意味では中々難しい面もあります。

一方、診断士が事業承継をして意思決定者として、売り上げ向上させ、自走できる状態で次の経営者にバトンタッチすれば、その企業が生み出す製品・サービスを守り、雇用を守り、次なる経営者を育てることに繋がります

もちろんそれでは顧問契約の時のように7社もサポートできないのでは、といった反論もあるかとは思いますが、現状企業内診断士が全体の7割を占めており、十分にその可能性を発揮できていないのでは?と考えのもと、診断士の選択肢を広げたいと思い、診断士だからこそということで書かせていただきました。

まとめ

Business man from building

いかがだったでしょうか。

中小企業診断士になってそれを最大限生かそうと考えたとき考えられる方法は、「診断(コンサル業)」だと思います。

ただ、私は中小企業診断士という資格の可能性はまだまだこんなものじゃないと思っています。

VC(ベンチャーキャピタル)のような大きなことをするのは難しいと思いますが、単身で中小企業を引き継ぎ、立て直すもしくは更に成長させるというのが新たな診断士の一つの業務として浸透すると、更に診断士の市場価値というのは上がるのではないかと思います。

本書では更に、以下のことが書かれています。

・事業承継までのフロー

・企業価値の算定方法

・バリューアップ戦略              etc…

気になった方は是非手に取って読んでみてください。