中小企業診断士全般

中小企業診断士試験の勉強する順番は?最短で合格を目指す方は必見!〜現役の中小企業診断士が解説〜

中小企業診断士の受験を考えているけど、1次試験が7科目もあってどれから手をつけていいかわからない。どんな判断基準で勉強する順番を決めるべきなの?そんなお悩みありませんか?

筆者自身、中小企業診断士を受験する際に、最初は独学でスタートしており、順番については最終的に全ての教科をやるからどれからもいいと言う適当な判断で勉強を始めた記憶があります。

今思えば、あらかじめ勉強すべき順番をしっかり理解した上で勉強を開始していれば、より効率的に勉強が進んだなと今だからこそ思います。

そこで本記事では、筆者と同様の過ちを犯さないように、これから中小企業診断士を受験される方に向けて、どの教科から勉強すべきかを解説していきます。

また関連する記事として、オススメのテキストについて、以下の記事で紹介していますので、こちらもご覧ください。

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なお、筆者は2021年度に登録した現役の中小企業診断士です。実体験を踏まえた勉強の順番や順番を決める際の判断基準について解説していきます。

【この記事で解決できるお悩み】

・中小企業診断士の勉強はどの順番でやるべき?
・順番を考える時にはどんなことを考慮するべき?
・最短で合格するにはどんなことを意識すべき?
・結局、独学が最短かつコストパフォーマンスが最も優れてるの?

中小企業診断士の1次試験科目で勉強するべき順番を決める要素は?

中小企業診断士1次試験は7科目あり、平均勉強時間は約7〜800時間です。

つまり、1科目あたり100時間程度、科目によってはそれ以上かかるものもあります。

従って、戦略的に学習計画を立てなければ、合格が遠のいてしまいます。

ではどのように順番を決めるべきなのでしょうか?詳しく見ていきましょう。

順番を決める要素①:何年で合格する予定か

中小企業診断士1次試験には、「科目合格制度」があり、60点を超えるとその科目は3年間に渡って再受験の際に受験が免除されます。

つまり、複数年に渡って7科目を合格すれば良いことになります。

受験生の多くは社会人の方なので、2年計画で受験される方もいます。

そしてこの計画によって、学習科目の順番に大きく影響しますので、事前に決めておきましょう。

順番を決める要素②:2次試験に関連があるか

中小企業診断士の資格試験は2次試験もあり、1次試験の7科目のうち、一部の科目と関連の深い内容が2次試験では出題されます。

2次試験は1次試験より合格難易度は高いため、1次試験の勉強の段階からある程度戦略的に2次試験を見据えた勉強の順番を決めておくことが重要だと言えます。

順番を決める要素③:理解重視の科目か、暗記重視の科目か

1次試験の7科目には理解に重きを置いた科目と、暗記に重きを置いた科目があります。

7科目もやっていると、当然内容も膨大な量を理解&暗記しなければいけないため、暗記科目はできるだけ後半に勉強して、忘れる知識量を減らした方が良いと言えます。

また理解を重視した科目は、比較的難易度が高い傾向があります。

こちらの記事で詳細を記載していますので、ご覧ください。

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順番を決める要素④:自身に関連知識があるか

1次試験の科目の中には、「財務会計」や「経営情報システム」のような科目があり、簿記を学んでいる方やIT系にお勤めの方には馴染み深い内容が出てきます。

こういった事前知識がある場合は、それほどインプットが苦にならず時間もかからないので学習は後回しにして、先に他の科目を選択された方が良いでしょう。

最適な勉強の順番は?

ここまで解説してきた様々な要素を解説してきましたが、2次試験の関連性と、理解重視・暗記重視かの紹介を1次試験の科目紹介と合わせてしておきます。

科目2次試験関連性理解 or 暗記
経済学・経済政策×理解
財務会計◎(事例Ⅳ)理解
企業経営理論◎(事例Ⅰ•Ⅱ•Ⅲ)理解
運営管理◎(事例Ⅲ)理解
経営法務×暗記
経営情報システム×暗記
中小企業経営・中小企業政策×暗記

パターン①:1年で合格を目指す場合(予備知識なし)

1年で合格を目指す場合(予備知識なし)
  1. 企業経営理論
  2. 財務会計
  3. 運営管理
  4. 経済学・経済政策
  5. 経営情報システム
  6. 経営法務
  7. 中小企業経営・中小企業政策

2次試験に関連が深い&理解重視の科目という順で勉強することがおすすめです。

パターン②:2年で合格を目指す場合(予備知識なし)

2年で合格を目指す場合(予備知識なし)

【1年目】

  1. 中小企業経営・中小企業政策
  2. 経営法務
  3. 経営情報システム
  4. 経済学・経済政策

【2年目】

  1. 企業経営理論
  2. 財務会計
  3. 運営管理

1年目には2次試験に関連が薄く、その中で暗記系のものほど優先的に学習し、2年目は全て2次試験に関連が深い教科の勉強をすることがおすすめです。

パターン③:1年で合格を目指す場合(簿記の知識あり)

1年で合格を目指す場合(簿記の知識あり)
  1. 企業経営理論
  2. 運営管理
  3. 財務会計 (知識ありのため、3番目に)
  4. 経済学・経済政策
  5. 経営情報システム
  6. 経営法務
  7. 中小企業経営・中小企業政策

基本ベースはパターン①ですが、簿記の知識があるため財務会計は3番目にしています。

ただ、重要度は4番目以下の科目と大きく異なりますので、2次試験に関連性がない科目に入る前に取り組む方が良いでしょう。

1次試験を最短で合格するために必要な要素は?

中小企業診断士試験の1次試験は受験科目の順番を決めたからと言って合格するような試験ではありません。

順番以外の最短で合格するための他の要素についても解説していきます。

①わからない・忘れたとなってもとりあえず進む

1次試験の勉強は7科目に渡るため、広範囲で最初は理解ができない部分も出てきます。

しかし、1つの内容に対してそれほど時間をかけていては到底試験に間に合わせることはできません。

複数回問題に取り組めば必ず知識は定着していきますので、初めて学ぶ内容はわからないもの、忘れていくものとして割り切って取り組むこと意識を持つことが必要です。

②アウトプット中心の勉強を意識する

テキストを完璧にした上で問題に取り掛かるべき、と考える人が多いですが、アウトプット中心の方が効率は間違いなく良いです。

①で述べたように、どうしても忘れてしまう内容やテキストだけ読んでも理解できない内容が出てくると思いますので、その場合は問題集に取り組むことで定着に繋がっていきます。

また問題中心の勉強にすることで、ゲームをクリアしている感覚で進められるので、単純に勉強が楽しくなります。

③過去問に早めに取り掛かる

過去問は最後にとっておくという方も多いです。実際、筆者も最後の実力チェックのために直前まで取っておこうと考えていました。

結果的には、早期に過去問に取り組んだのですが、どのような問題が出るのか、レベル感はどれくらいかということを理解して勉強した方がどこに力を入れるべきなのかがわかりました。

その経験から過去問は早めに取り組むべきだと感じています。

④問題は覚えるほど取り組むべし

勉強を進めていき、問題集を1周したところで、1度やったから新しい問題に行くということをやりがちですが、少なくとも3回は同じ問題に取り組みましょう。

その際、問題を覚えてしまうからやる意味がないと思うかもしれません。

確かに答えの数字を覚えるだけであれば意味がありませんが、重要なのは答えを導く過程・解説の内容です。

解答番号を覚えていたとしても、必ずその答えがなぜそうなるのかを毎回頭の中で考えてから答えるような意識づけをしておきましょう。

⑤順番以外は2次試験を意識しなくて問題ない

勉強の順番を決める要素として、2次試験との関連性を考えるべきと解説しましたが、勉強する際にはそこまで意識しなくても問題ありません。

そう言った意識をしなくても勉強しているうちに自然と身に付きますし、2次試験で追加で必要になった知識は2次試験の時に改めて習得するくらいの意識で問題なく合格可能です。

そもそも、1次試験勉強している時に2次試験のことを考えられるほど余裕は基本的にないと思います。

⑥時には諦める勇気も

1次試験は広く浅くと言った知識の習得になりますが、単元によっては学ぼうと思えば深いところまで学べるものもあります。

しかし、試験では深い知識までは求められていないケースが多いため、一定のラインで妥協し、まずは合格することを第一に考えましょう。

もしどうしても興味があれば、合格後にその単元を学ぶことはできます。

2次試験はどの順番で勉強すべき?

2次試験は4科目(事例Ⅰ〜Ⅳ)ありますが、どの順番で進めるべきなのでしょうか?

まずはそれぞれの事例の内容と1次試験との関連性を見てみましょう。

科目内容1次試験との関連性
事例Ⅰ組織・人事企業経営理論
事例Ⅱマーケティング・流通企業経営理論
事例Ⅲ生産・技術運営管理・企業経営理論
事例Ⅳ財務・会計財務会計

ここからどの順番で勉強すべきかを解説して行きます。

なお、2次試験には上記の筆記試験に合格後、口述試験がありますが、事例Ⅰ〜Ⅳの内容について聞かれることと、ほぼ100%の合格率ですので、今回は説明を省略します。

2次試験の勉強する順番は特に重要ではない

結論を言うと、2次試験に関しては勉強する順番は特に重要ではありません。

理由は、以下です。

2次試験の勉強する順番は重要ではない理由

・2次試験は科目合格がない
・2次試験後に試験はない
・4つの科目とも全て理解重視の問題であるため

上記のような理由から、どの事例から取り組んでも良いと言えます。

ただし、勉強する時間に関しては、事例の得意不得意で差をつけることは有りと言えます。

2次試験は事例Ⅳに時間をかけるべし

2次試験の事例Ⅰ〜Ⅲは分析、提案力が主に求められますが、事例Ⅳは計算力が重視されます。

また事例Ⅰ〜Ⅲは模範回答がわからない一方、事例Ⅳは数値計算の分、模範回答がわかるものも多いです。

従って、試験戦略として得点源として計算しやすいのは事例Ⅳであり、試験対策として最も時間をかけるべきなのは事例Ⅳであると言えます。

筆者の場合は、おおよそ200時間勉強しましたが、以下のような時間配分で試験に臨みました。

科目勉強時間
事例Ⅰ40時間
事例Ⅱ40時間
事例Ⅲ40時間
事例Ⅳ80時間
総合計時間200時間

2次試験を最短で合格するために必要な要素は?

2次試験は1次試験合格から試験日までの期間が短いため、効率的な勉強が求められることに加え、模範解答が公式に出されないため、1次試験よりも更に戦略的な勉強が必要となります。

①まずは50事例を目安に

「2次試験では量より質を高めるべき!」とおっしゃる方も多いですが、【質は量を伴って初めて高まる】と言うことは間違いなく言えます。

周囲の診断士の方に聞いても、数事例程度の演習で合格した人は聞いたことはないため、まずは50事例を目安に勉強すべきです。

ただし、1次試験と同様、回答した過程をしっかりと意識して、復習の際はなぜできたのか、できなかったのかを反芻することが最も重要です。

②基本的な知識を早急に身につける

2次試験には最低限知っておくべき知識があります。

当然それらの知識は1次試験で学んでいますが、忘れてしまっていたり、筆記試験になると関連づけられず書けないと言うことも大いにあります。

早めに2次試験に使う知識を身につけて、体が反応するくらいにしておくと、本番で使える知識レベルまで落とし込めていると言えるでしょう。

③完璧を求めすぎない

2次試験の合格ラインは60%ですので、1次試験と同様に100点の勉強をする必要はありません。

特に資格の学校から模範回答として素晴らしい回答が出ていますが、その回答を作ったのは何年にも渡り診断士試験を分析してきた講師が時間をかけて練り上げた回答です。

つまり、1〜2年ほど勉強した受験生が80分で作り上げられる回答の質レベルを大きく超えています。

従って、向かう方向性としては、受験生の合格者レベルの回答を書けるようになるべきであり、そう言った回答を集めている参考書が「ふぞろいな合格答案」になります。

この参考書は受験生の必須の参考書になりますので、必ず購入しておきましょう。

④他者からの視点を得る

2次試験は模範回答がないため、自身の回答が合格レベルなのか、また進むべき先が正しいのかの判断が難しい試験です。

従って、一人で勉強していると、合格とは大きく逸れた考え方をしてしまうことがあります。

時には他の受験生や合格者からの意見をもらうことも合格への一つの道であると言えます。

資格の学校の講師に意見を求めることができる人はそれで良いですが、できない人は受験生の支援をしている団体はいくつかありますので、そういう団体の勉強会に参加してみるのが良いでしょう。

<勉強会している受験生の支援団体>

・一発合格道場
・ココスタ
・弱小診断士勉強会

受験の目安のスケジュールとは?

中小企業診断士試験の合格を目指す上で、勉強時間だけでなく勉強期間についても把握しておきましょう。

例として、令和4年の試験スケジュールで1年合格の場合と2年計画の場合のスケジュールを見てみましょう。

社会人で働きながら取得を目指すと仮定すると、1日約3時間の勉強時間の確保が現実的だと考えられます。

そうなると、1年で合格するためには1次試験では約9ヶ月前(10月)から勉強する必要があります。

また科目の重要度や理解の必要性によりますが、1科目おおよそ1ヶ月でテキスト+問題集を終えるイメージで進めなければ試験に間に合いません。

2年で合格する場合は多少余裕があるので、早めに2次試験の対策やるスケジュールが良いでしょう。

独学が最短かつコストパフォーマンスが最も良いの?

ここまで独学を前提に勉強の順番等を紹介してきましたが、実際には独学が最短かつコストパフォーマンスに優れるのでしょうか?

結論から言うと、最も最短かつコストパフォーマンスが良いのは「オンライン講座」です。

<オンライン講座が最も良い理由>

・費用が安い(合格祝い金まで含めると1万円台で受講できるものも)
・隙間時間やスケジュールを立てやすい
・講義・テキストの質が高い
・受験仲間とのコミュニケーションでモチベーション維持ができる

今回勉強の順番を紹介してきましたが、オンライン講座であれば最適なカリキュラムを提案してくれます。

また勉強のペースもオンライン講座側で握ってくれるので、試験にもしっかりと間に合わせることもできるでしょう。

ただし、今回紹介した最短で勉強する時に意識しておきたい項目は、講座を受けていても覚えておきたい項目になっていますので、ご参考にしてください。

更にオンライン講座について詳しく解説した記事もありますので、興味を持たれた方はぜひご覧ください。

【中小企業診断士】おすすめのオンライン講座5選〜現役の中小企業診断士が解説!〜 取得したいビジネス関連資格の中で、常に高い人気を集め続けている中小企業診断士。 そして隙間時間に受講できるオンラインの講座の人気...

まとめ

いかがでしたでしょうか?中小企業診断士試験は科目数が多く、勉強時間も長いため、合格するためには最適な勉強順番を知っておくことは非常に重要です。

ただし、大前提として、独学が最適な勉強方法とは言えず、最近ではオンライン講座が非常に人気も高いので、ぜひ利用してみてください。