中小企業診断士1次試験は7科目もあり、どの科目から手を付けるべきかというのは独学の方にとっては頭の痛い悩みだと思います。
今回は独学者がどのように診断士試験を進めるべきかをまとめます。
その前に、中小企業診断士の概要について知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。

1次試験で取り組む順番は?
1次試験は7科目があります。
そしてそれらは、以下を軸にして勉強の順番を決めます。
①:理解する科目か、暗記する科目か
②:2次試験に関連性が強いか
③:自身のバックグラウンドや前知識がある科目か
理解すべき科目は、用語を知っている前提で解答を求められるので、暗記+理解が必要となり、時間がかかります。
一方、暗記科目は単純に暗記すれば解答できる問題が出題されますので、比較的時間はかかりません。
②の2次試験の関連性については、科目によって関連性が強いものと弱いものがあるので、その点を意識しながら順番を決める必要があります。
また③の事前の知識がある場合に関しては、ストレート計画の場合は費やす時間を調整するのみで、順番については後述するものと同じで大丈夫でしょう。
一方、2年(複数年)計画の際の勉強順番には、事前知識がある科目をどう受けるかは受験戦略上変わってきます。
ストレート(1年)での合格計画の場合
①と②を反映させた勉強すべき順番を表にまとめると、以下のようになります。

2年(複数年)での合格計画の場合
2年(複数年)計画の場合は、以下の順番・力のかけ方で勉強することをお勧めします。

何故なら、2次試験の試験範囲である教科を1年目に取り組むと、2次試験時に知識を再度習得しなければならないという無駄が生じるためです。
経営情報シムテムに関しては、少し2次試験に出題される内容もありますが、2次試験時に演習を行いながら復習をする程度で十分ですので、1年目で問題ありません。
また経済学・経済政策はセオリーに則れば、2次試験の関連性が低いので1年目に合格すべきですが、比較的点数を稼ぎやすい科目ですので、どうしても苦手でない限り2年目のリスクヘッジとして残しておくことをオススメします。
各科目の難易度については以下の記事で紹介しています。

また事前知識がある科目に関しては、2年目に回して平均60点の壁を超えるための得点源とする作戦を採用することをおススメします。
おススメの勉強方法
勉強の中心は過去問
TACなどの資格の予備校からは様々な問題集が出されていますが、過去問ほど優秀な問題集はありません。
レベル感や表現の仕方等、出題年度が変化しても、それほど大きく変わるものではありませんので、少なくとも過去5年分を3周は解いておきたいですね。
また過去問を最後まで置いておくのか論争がありますが、早めにやることをおススメします。
新しく、試験により近い問題を試験近くまで置いておき、実力試し的な気持ちでやりたいというのは非常によくわかりますが、それでは最も学びが多い教材の復習・知識の定着が出来ないことになります。
勉強するにあたって、最も重要なことは復習であり、問題を解くことではありません。
復習のやり方は、問題を解いた後の解説をじっくり読み、その周
どうしても実力試しをやりたいのであれば、予備校各社の模試を受験しましょう。
復習のやり方は、以下の流れを参考にしてください。
- 問題を解く
- 解説を読む
- 不明な用語を調べ、メモを加える
- 関連する知識がないかテキストを見に行き、あればメモを加える
- 複数回間違えてしまう点は、ノートにまとめておく
これだけ復習を重要視するので、最初は問題:復習=1:3くらいの時間割合になってしまい、問題数をこなせません。
しかし、知識が定着すると復習する項目も減りますので、たくさんの問題に取り組むことができます。
忘れることを恐れずにまずは7科目やりきる
順番に科目を変えていくと、どんどん前の科目の内容を忘れてしまって不安で仕方ない。
それでOKです。
1科目ずつ完璧に定着させながら次の科目に進むことは、時間が限られている中で難しいです。
であれば、7科目一通り参考書と簡単な問題をやってしまった後に、過去問等で全体を満遍なくやっていく方法がベストです。
このやり方は筆者の周囲の合格者たちの皆が採用しています。
また1科目ずつ参考書のまとめノートのようなものを作成したくなることもありますが、とにかく時間を食ってしまい、効率が悪いので、オススメしません。
あくまで問題中心の勉強としましょう。
もちろん1周目はわからない問題も多いですが、2周目、3周目に入ると課題をクリアしていくような感じでどんどんできるようになっていくので、安心してください。
2次試験の勉強は並行してやる必要はない
2次試験は1次試験と異なり、記述式の問題です。そのため1次試験とは異なる対策が必要です。
また1次試験から2次試験の間は例年2ヶ月程度とかなり短くなっています。
そのため、1次試験の勉強している時から2次試験の勉強を始めるべきか悩まれることもあるかもしれませんが、並行して勉強をする必要はありません。
理由は以下です。
・1次試験に受からなければ2次試験の受験資格を得られないから
・2次試験は1次試験の知識を使うから
・1次試験後でも2次試験の合格レベルまで到達可能だから
1次試験にもう120%受かる自信があり、もうやることはないというレベルまで行った段階の方は、2次試験に取り組んでもいいかもしれませんが、基本はあくまで1次試験に集中することです。
ただ、2次試験の内容を知るという意味で、問題を覗いてみるくらいであれば良いと思います。
各科目の勉強時間は?
1次試験の必要勉強時間は約800時間と言われます。これを各科目に配分してみると、以下のようなイメージになります。

理解が必要で2次試験にも関連が深い科目については多めの時間配分であり、暗記色が強い科目はそれらの約半分くらいの時間配分でよいでしょう。
実際、私自身も1次試験には約800時間を費やし、上記のような時間配分としていました。
ちなみに私はTACに通っていましたが、それらの授業時間も含んで800時間換算ですので、自主勉強時間は700時間弱といったところでしょう。
スケジュール感は?
独学者にとってスケジュールも重要です。
下記を参考に計画を立ててみるのが良いでしょう。
勉強期間は1年程度確保しておく
前述したように、診断士試験は1次試験まででも約800時間程度の勉強時間が必要と言われています。
従って半年〜1年程度の勉強期間は確保したいところです。
仮に1年間の勉強期間があるとして、スケジュールを組んでみます。

8月〜2月くらいまではわからない点が多く、苦しい時期ですが、それを超えてくると知識の定着もできてきますので、問題を解いてから復習までの時間がどんどん短くなるので、たくさんの問題に触れることができます。
この記事を見ている時点で試験日まで1年を切っている場合でも、問題中心で効率よく勉強を進めることで試験日に間に合わせることが可能です。
筆者自身も12月から勉強をスタートし、8ヶ月程度で合格レベルまで到達することができました。
1日の勉強時間は3時間を目標に
1次試験の勉強時間である800時間に対して、1年の勉強期間とすると、単純に800時間÷365日=2.19時間/日です。
しかし、診断士試験を受験される方の多くは本業がありながら受験される方が多いので、単純に2.19時間を確保するのは難しいかもしれません。
従って、少し多めに見積もって、毎日3時間を目標に勉強時間を確保するくらいの気持ちでいくと、最終的に800時間程度となるでしょう。
ただし、あくまでこの時間は目安です。時間ばかりをとって、質が伴わないということは避けましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は勉強を進める順番や効率的な勉強方法、勉強時間について解説しました。
特に独学の方はどのように進めればいいかわからない方も多いと思うので、ぜひ参考にしてみてください。